お茶をアートする ~「茶藝」はアートかライフスタイルか? ~

中国茶藝の歴史的背景と日本的再解釈

「茶藝」は中国における茶道のこと。1970年代に台湾や香港、中国に広まったとか、唐の時代からあったなど、諸説あります。日本の茶道が、動きや道具の位置などまで事細かに決まっていて、静かに茶を味わうものである一方、茶藝は「芸」と名がつく通り、華やかで動きのある自由な表現によって美しさを表す芸術とされています。
日本の茶道も中国から入ってきたものですから、茶藝も茶道も、茶を美しく淹れて美味しく客人に振る舞うという中国の茶文化を味わうものだと言えます。茶が日本に入ってきたのは平安時代と言われ、鎌倉時代に広まっていきました。さらに、茶人千利休が侘び茶の精神を発展させたことで茶道が確立し、今なお根強く当時の文化が残っているという古い歴史を持っています。
一方、「茶藝」の歴史は2000年頃に日本で知られ始めました。現代人にとってお茶はリラックスしながらいただくものですから、茶藝は人の心に楽しさを与える芸術と言えるでしょう。

佐賀伊万里で“藝”を名乗る意味

佐賀県伊万里市は、伊万里・有田焼で有名な地域です。これらの焼き物は名称は違えど同じもの。
隣接する伊万里市と有田町、それぞれの土地で作られた磁器を場所によって大別しているだけです。
茶器とお茶、両方を楽しませてくれるこの土地でしか味わえない“藝”があります。
急須や茶碗などの茶器にこだわりたい人は、この地域の焼き物を選び、この地域のお茶を楽しむという一連の流れまでの芸術を味わうのもいいでしょう。

家庭で楽しむ【カジュアル茶藝入門】

食後のひととき、食事の片付けを終えたあとに、こだわりの急須で淹れたちょっと上質な中国茶を差し出して家族やパートナーに「どう? 1杯」なんてできたらかっこいいですよね。
日本人が日頃から茶道のお作法でお茶を飲んでいるわけじゃないように、中国でも家庭ではもっとカジュアルにお茶を楽しんでいます。
カジュアルに茶藝を取り入れて家庭で楽しめたら、中国茶をもっと身近に味わえます。
楽しみ方は人それぞれです。いくつかの茶葉を用意して味の違いを試してみたり、茶器にこだわったり。
お茶の淹れ方を工夫したり。香りや変化、味わいなどでホッと癒されるひと時を過ごすと、お茶の世界がぐんと広がります。自然と会話もはずみそうですね。

「日常で茶藝を楽しむ」文化のススメ

お茶は、淹れるのも味わうのも、心を癒してくれます。
毎日でも心安らぐひとときを取り入れたいところ。だけど、華やかな淹れ方をする茶藝を見ると、中国茶を日常で楽しむにはハードルが高いんじゃないかと思われそうですね。
そんなことはありません。茶藝はもっと個性豊かにアレンジできる「芸」なんです。もっとカジュアルでもいいし、もっと自分らしくていい。自分なりの個性でお茶を楽しむ喜びが茶藝にはあります。
1煎目、2煎目と味わいや香りを変えながら味わったり、お茶請けにこだわったりするのもいいですね。お茶によって合うお茶請けをリサーチするのも楽しみの一つに。
お茶を飲みながら本を読んだり絵を描いたりといった、他の芸術に触れてみるのも味わい深いです。
そんなふうに日常的にお茶を楽しみながら、自分らしい時間を作ると、人生がほんのり潤っていくと思いませんか。

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