山のてっぺんから湧き出る旨み ~日南郷の魅力 × 茶づくりの原風景~

日南郷、知る人ぞ知る“茶の里”

佐賀県伊万里市、伊万里湾沿いに山へ向かって車を走らせると、景色は海から山へと変わる。棚田を横目に視界一面の緑を楽しみながら山頂を目指す。標高450mほどの山の頂は、空と海を見渡せる台地、そこが日南郷です。春には眩いほどの新緑が輝き、冬には雪が積もります。海風が届き、遠くに船の汽笛も聞こえてきます。小さな遺跡に湧き水、民家もなく電波も届かないような、かつての自然があるがままの姿に残されています。

そんな自然を開拓したのが、横田家の祖父、忠欣さんです。今では家族3代が暮らし、この日南郷という素晴らしい土地で茶畑を営んでいます。

自然にゆだねる、横田家のお茶づくり

横田家のお茶づくりは「自然にゆだねる」。
あるがままの茶畑に任せ、農薬も肥料も使わず、他から有機物を持ち込むこともしません。味を深めたり収穫を増やしたりするために栄養を付加することもしません。畑に育つ草や剪定で落ちた枝などを虫や微生物が分解することで、自然が栄養を作り出します。さらには、茶畑に注ぐ太陽光や雨、風などの日南郷の環境や自然そのものがお茶を育ててくれます。人がすることは、お茶の木が自然の恵みをしっかりと受けられるようお手伝いをするだけ。手をかけて育てるのではなく、自然と一緒にお茶を作っているのです。お茶の木というのはもともととても強いもので、どんな環境にも適応して自生できます。お茶の木本来の持つ強さを、決して邪魔せず、土地が作り出す旨みをそのまま引き出すようなお茶づくりをしています。

もちろん、自然がいつも安定して恵みを与えてくれるわけではありませんから、大変なときもあります。だけどそれも含めて、「お茶づくりは楽しい」と横田さんは仰います。日々お茶の木たちと会話しながら多くを学び、この日南郷の自然と共に未来を見据えて生きていく。そんなあるがままのお茶づくりを楽しんでいるのです。

シンプルに味わいを感じる

同じお茶は1つとしてありません。
大地や風、雨、木々などの自然により、そのときにしかできないお茶が出来上がります。そうしてできたお茶の味わいの違いやゆらぎは当たり前のことであり、それがお茶のひとときの楽しみを増します。

家族や友達と一緒に、1人でじっくり、さまざまなお茶の時間があると思います。そんなひとときがより楽しいものになるよう、肩肘はらず誰でも作って飲める、淹れやすくて飲みやすい、そんなシンプルに味わいを感じられる方法でお届けしています。

日南茶藝の「茶藝」は、日常の中で大切な人と気楽にお茶を楽しむという意味があります。「藝」の言葉が示すように、お茶は飲み物というだけでなく、素敵なひとときを表現する芸だと捉えています。ゆるりとほがらかに楽しむひとときを演出するお茶を作りたい、そんな想いがこめられています。

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