ジャムやペーストが“美味しい”と感じる、深い味わいの理由

ジャムやペーストの“食感と香り”の秘密

ジャムやペーストを食べて“美味しい”と感じるのは、果実の甘さや果実香、食感、見た目の美しさなどによって五感が刺激されるためでしょう。果実そのものの味だけでなく、甘味やレモン汁などが加えられることで、さらに味に深みが増すのです。

煮詰めて作られるジャムは、とろみがあり、口に含んだときに長い時間味わいが舌の上に留まります。そのため、美味しいと感じる瞬間が長続きします。これには、「ペクチン」の成分が関係しています。ジャムを作る際にトロッとする成分がペクチンです。ペクチンは食物繊維の一種で、りんごやいちご、オレンジなど様々な果実に含まれている天然の多糖類です。

ペクチンは体にも良い働きがあり、胃腸での消化をゆっくりさせたり、胆汁酸の働きを良くしたりすることから、コレステロール値の低下や血糖値の上昇を穏やかにする効果、便通促進などに繋がります。ジャムは、美味しい上に体にも良い効果をもたらしてくれるんですね。

ジャムの起源は保存食

ジャムの起源は、今から1万年ほど前、旧石器時代にまでさかのぼります。ミツバチの蜜を使って果実を煮て、保存食を作ったことが起源となったようです。

さらに、紀元前320年頃にアレクサンダー大王がインドを攻め落とした際に、砂糖を手に入れて本国に持ち帰ったことから、今のジャムが出来上がったとされています。当時はまだ、王族や貴族の貴重な食べ物でした。その後、十字軍がオリエント遠征により砂糖を大量に持ち帰ったことから、一般にも広がっていったようです。

日本では、16世紀後半に宣教師によって最初のジャムがもたらされたようです。そして明治10年、東京新宿の勧農局で日本で作られた初めてのジャムとなる、いちごジャムが試売され、その後明治14年に長野県で缶詰いちごジャムが販売されました。

各国で異なるジャム文化

ジャムの文化は国によっても様々です。
まず、イギリスはいちごが古くから自生していたり、オレンジがバスコ・ダ・ガマによってインドから大量に輸入されたりしたことで、ジャムの元となる果実が豊富にありました。さらに、砂糖の貿易を独占していたのもあり、ジャム作りが発展していったようです。

特に、マーマレードの歴史は古く、17世紀中頃のレシピが残存しています。また、ダンディーマーマレードは有名です。スコットランドのダンディー地区伝統の、セビルオレンジを使ったスタンダードなマーマレードは大人気商品となり、現代にも受け継がれています。

フランスは農業大国で、いちごやオレンジ、ブルーベリー、アプリコット、いちじくなど様々な果物が栽培されていて、ジャム作りも盛んです。

フランス語ではジャムは「コンフィチュール」と呼ばれ、日本の甘いジャムと違い、糖度が低めで、自然な甘味が活かされ、果肉の含有率が高いのが特徴です。ジャムがゼリー状に仕上げる一方で、コンフィチュールは果汁だけを煮詰めてそこに果肉を漬けます。そのため、果肉の味わいがしっかりと残り、パンに乗せてもデザートとしてもいただけます。

日本では、ジャムは大正時代に一般に広まり、戦後には給食のパン食でジャムが子供たちにも親しまれました。現代に至るまで、ジャムはどんどんと普及し、その種類や品質等、様々に発展を見せています。

日本独自のパン文化としては、名古屋の喫茶店「満つ葉」が考案したとされる「小倉トースト」があります。小豆の甘味とバターの塩味を同時に味わう「あんバター」は、あんこ好きの日本人はもちろん、韓国でも人気です。

お取り寄せ品やインターネット情報などを利用して、様々な国のジャム文化を楽しんでみるのもいいですね。

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